「社会保険労務士の顧客開拓」 解雇について
最近、解雇について相談を受けたり、実際に顧問先で解雇をしたりなど、解雇にまつわる案件が結構あります。
中小企業にとっては「会社に不要な従業員を抱えたくない」ので、”解雇したい”のです。
心情としては理解はできます。
しかし、私個人は”解雇”には抵抗があります。
労基法の手続きをきちんと行ったとしても、最終的に”裁判”となるリスクを抱えるし、一度解雇をしてしまうと、次に採用したときも「だめな人だったら、解雇しちゃえばいい」というように安易な方向に流れてしまうからです。
またこういうスタンスになると、さらにリスクは高くなります。
そしてこのリスクが”発症”すると、会社経営を圧迫しかねない事態にもなる可能性を否定できないから、抵抗があるのです。
労基法では次のように客観的に合理的な理由がなければ、解雇は無効とされています。
第18条の2 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
一応合理的な理由があり、就業規則に解雇事由を記載してあり、その事由に該当しており、そして一定の手続きを踏めば、合法的に解雇はできるのです。
第89条 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
1.始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2.賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
こういう手続きを踏み、そして本人から解雇の理由を求められたら、書面にて回答すれば一応手続きは完了します。
第22条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
本人が納得いかない場合は、あっせん委員による調停、それでも解決しない場合は本人が裁判に訴えるかどうかになってきます。
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