« 組織拡大化の弊害 | トップページ | 富士火災 厚生年金保険料1億7000万円未納 »

2008年1月 9日 (水)

厚生年金 記録訂正で減額も 特例対象者 納付実績下がり

厚生年金 記録訂正で減額も 特例対象者 納付実績下がり

年金記録漏れ問題で照合・訂正作業が続くなか、未納や未加入とされていた期間の年金記録が見つかった結果、年金の受給額が減るケースが出ていることが分かった。みなし特例として納付実績に見合った額よりも多く年金を受けている厚生年金加入者の一部は、記録の訂正による増額分よりも減額分が上回ってしまうことがあるためだ。年金制度の“逆転現象”が記録漏れ問題を機に露呈したかたち。社会保険庁は年金減になった人数は「把握していない」としている。今後、記録の統合作業が進めば、混乱が広がりそうだ。

 厚生年金の受給額は、加入期間の長さと、過去に納めた保険料の平均額に応じて決まる。漏れていた年金記録が見つかった場合、加入期間は延びる。ただし、納付額が低かった期間の記録などが足されると、受給額の計算基準となる平均標準報酬月額は下がる。

 一般的には、期間延長による増額分が減額分を上回り、差し引きしても年金額は増えることが多いが、厚生年金加入者の一部では、年金額が減るケースが生じる。可能性があるのは、実際の加入期間よりも長く保険料を納めたとみなされて年金を受給している「中高齢特例」の対象者や、加入期間が40年以上あって、年金が部分的に“頭打ち”になっている人など。

 たとえば中高齢特例で、15年の納付期間を20年とみなされている人で、納付額の低い時期の加入記録が5年分出てきたとすると、実質的に厚生年金の加入期間は変わらず、平均標準報酬月額の下がり方によっては年金が減額されてしまう。

 年金額が増えるか減るかはケース・バイ・ケースで、見つかった加入期間、記録の時期、当時の標準報酬月額などを計算してみないと分からないという。

 社会保険庁によると、昨年9月までの約1年間に年金の記録を訂正した人は約90万人。そのうち何人が減額になったかについては「よく分からない。調査するのも難しい」としている。

 この件について、各地の社会保険事務所の対応が統一されていないのも問題になりそうだ
。年金減額を説明された女性は「額が減ると聞いて、『それなら訂正しないで』と言ったら、『記録漏れが分かった以上、元に戻すことはできない』と言われた」と話す。一方、社会保険庁は「本人の了解や納得が得られなければ、無理に記録訂正はできない」として、記録をそのままにすることを否定していない。

                   ◇

【用語解説】厚生年金の中高齢特例

 現在の年金制度では、加入期間が原則25年以上ないと、年金が受け取れない。だが、旧制度の厚生年金では、老齢年金の資格期間は20年だった。さらに制度が始まってから年金に加入した中高齢者も厚生年金が受け取れるように、15年以上加入期間があれば、年金を受けることができた。このため、現行制度でも一定年齢以上の人は、加入期間が短くても加入期間を満たしているとみなし、年金が受け取れる特例が経過措置として設けられている。

こんな問題も起きてしまうのですね。

|

« 組織拡大化の弊害 | トップページ | 富士火災 厚生年金保険料1億7000万円未納 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 厚生年金 記録訂正で減額も 特例対象者 納付実績下がり:

« 組織拡大化の弊害 | トップページ | 富士火災 厚生年金保険料1億7000万円未納 »