社保事務所職員、厚生年金記録の改ざんを事業所に指導
厚生年金の加入記録の改ざんが相次いで見つかった問題をめぐり、社会保険事務所の職員が経営不振で保険料を滞納している事業所に対し、「滞納するより制度を脱退しては」と勧めたり、保険料負担を低く抑えるため従業員の月給を実際より極端に低く届け出るよう働きかけたりしていたケースがあることが、関係者の証言で明らかになった。
滞納を減らして保険料の徴収実績を良く見せかけるのが目的とみられる。こうした対応が原因で、本来より少ない年金額しか支給されていない人が、相当の人数にのぼる可能性がある。
総務省の年金記録確認第三者委員会は昨年末までに、厚生年金の記録改ざんを10件確認している。いずれも社会保険庁にいったん記録された内容が、後になって事業主の届け出で訂正されていた。月給の記録である「標準報酬月額」が実際より大幅に引き下げられた例のほか、事業所が営業を続けているのに、休業などと偽って「全喪届」という脱退届を出していた例も3件見つかった。
改ざんで事業主は労使折半の保険料負担が軽くなった一方、従業員の年金は年数万円程度、本来より少なくなっていた。
記録の改ざんをめぐり、社保庁の職員は、1990年代に東日本の社保事務所に勤務していた当時の実態について、読売新聞の取材に対し、「保険料を滞納している事業所に対し、全喪届を出すよう数え切れないほど指導した。同じ社保事務所内で、標準報酬月額の引き下げも行われていた」と証言した。この職員は第三者委が認定した10件に直接かかわってはいないものの、社保庁職員が改ざんに深く関与していた事実を認めたものだ。
さらに、「滞納する事業所から保険料を徴収するのは難しい。制度から脱退してもらったほうが楽だし、納付率が低下しなくて済む」とも述べた。
また、東京都内の社会保険労務士も、「5年ほど前、社保事務所に顧客の事業主と一緒に呼び出された。職員から標準報酬月額が実際より低かったことにする訂正の届けを出すように言われ、口外しないよう念を押された」と証言する。別の社労士も「全喪届や標準報酬月額の引き下げを社保事務所職員が促すことはよくあった」と話す。
これに対し、社保庁は「職員が関与した事実は把握していない」としている。
第三者委には厚生年金に関する異議申し立てが約1万3000件出されているが、審査が遅れており、修正が認められたのはまだ60件だけ。10件の改ざんは、その中から見つかった。
- 保険料を払えなくて滞納している会社には脱退をしてもらうこと
- 本来の給料は30万円として、30万円の給料(標準報酬月額)だと保険料も高くなるので、標準報酬月額を9万8千円(当時の最低額)にして、保険料を低く抑えること
会社が社会保険を脱退しても保険料を従業員から徴収しているかもしれません。
標準報酬月額を9万8千円に抑えても、給料からは30万円に応じた保険料を徴収しているかもしれません。
記事にも書いていますが、これでは本人の年金額が少なくなるのです。それを社会保険事務所が働きかけていたのです。
過去に保険料を滞納していたので、社会保険事務所に勧められて脱退をしたという、会社も私の関与先にありました。
また、つい最近ですが、知り合いのベテラン社労士の先生から、「最近顧問契約した会社は、全員の標準報酬月額が9万8千円になっている。でも実際の給料はそれぞれ異なるし、9万8千円の人はいない」、という話を直接聞きました。
この話を聞いたときは、「これは大問題だな」と思った矢先に、この記事が新聞に掲載されたのです。
こういう不正がまかり通っていたのですね。
社会保険庁という組織、本当に腐りきっていたのでしょう。
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